インヴァースの輪舞曲
イーシス・ヴィオレスタ。
似ても似つかないとはその髪色に始まる文句といったところだろうが実際に彼の弟であるならその理由はポケモンで言う色違いだから、という話に収まる。彼の種族はリオルか。
……それにしても。
「ここで何をしているんだい」
マークはモニター画面に映し出された映像を確認した上で厳しい目を向けながら訊ねた。
「実況だけど」
「……まさか本当に」
「そ。リアルタイムで配信中」
イーシスは呑気に話しながら座っていた椅子を回してモニター画面に向き直る。モニター画面の中では先程まで行われていたハルとしずえの試合は既に終了しており、ロックマンがまた次の相手と戦っていたことが結果の全てを物語っていた。
「暇潰しにこっちに顔出してみりゃ面白いことになってるし兄貴が何でもするって言うからさ」
「何でもするとは言っていない」
「振りじゃん」
「振りです」
ルフレがすかさず睨み付ける。
「他人事だと思って!」
「いやいや。実際そうでしょ」
イーシスは頬杖を付いて試合を眺めながら。
「勝手にそっちが賭け事して始めたことを俺たちは盛り上げてやろうと思って良心で配信してるってだけ。今話題のゲームってのもそうだしクッソ注目されてる猛者が出るとかネタになるし」
マークはハッとする。
「……たち?」
イーシスは振り向いた。
「人気動画配信者のナンジャモ。知らない? 俺今あの人と実況解説組んでコラボ配信してんの」
……は?
「同接えっぐww一万余裕で越してて草だわ」
ナンジャモって。
……あのハッコウシティのジムリーダー!?