インヴァースの輪舞曲



隙を狙い撃つパチンコの弾を素早く見切り、躱して懐へ。後方へ振り投げた直後振り向きざまに投げた歯車ことメタルブレードが相手にヒットしたことを確認すれば隙を縫うように。

「……だああっと今の一撃は痛いか!」


モニタールーム。

その名の示す通り巨大なモニターの他に小さなモニターとそれらを操作する機械やパソコンがあるだけの決して広くはない部屋である。

通信機には発信機能も搭載されているので無線を付けていればメンバーの事細かな位置はこの中央のモニターで確認可能だ。更に機械にはマイクも取り付けてあるので操作によっては特定の人物に指示を下すことも。これだけハイテクでありながら使用頻度は高くないその場所の厚みのある椅子に腰を下ろしながらモニター画面に映し出される映像に食い入りながら実況するのは。


「見つけたわ!」

その人物は口を閉ざしてマイクをオフにした。

「ルフレ」

扉を開け放つ妹に追いついた兄は。

「お。美男美女キター」
「……え?」

目を丸くする。

「君は」

何せ──相手は子どもである。

金色の髪に黒のメッシュ──とはいえルーティに兄弟がいたという話は聞いた事ないし。サングラスのようにレンズに黒みがかかったアイガードを着用していて瞳の色が窺えないのではそれ以上の情報は残念ながら得られない。低身長で和を思わせる衣服。気になるところといえば、頭に生えた黒いたれ耳くらいなものか。

「第四正義部隊フォーエス部隊」

少年はぽつりと。

「隊長を取り戻すために有り得ん約束しちゃって連敗とかマジで草を禁じえないんだよなぁ」
 
 
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