インヴァースの輪舞曲
キンッ──甲高い音が鳴り響いて。
モニター画面の中に映し出された映像が今現在戦っている二人に注目するようにカメラをズームさせたかと思えば今度は背景に赤黒い稲妻のエフェクトが発生した。次の瞬間ルルトの体は勢いよく画面外へと吹き飛ばされてしまい──そして。
"GAME SET"
「……は」
そこには驚きの声も歓声もなく。
ただただ誰もが呆気に取られるばかり。
「……ロック」
「くくく」
ぽつりと零したロールの隣でブルースは腕を組みながら満足げに口元に笑みを浮かべる。
「夕飯には間に合いそうだな。ライト」
「……そうか」
ライト博士は短く息を吐き出して。
「助かるよ」
今、……何が、起こった……?
「ルルト」
程なくバトルルームに戻ってきた彼女は表情を暗く沈ませていたがだからといってやり場のない感情をぶつけることも逃げ出すこともしなかった。ただ固く拳を握り、唇を震わせて。
「、……ごめんなさい」
誰も責められるはずがない──彼女の立ち回りは至極冷静で且つ間違ってなどいなかった。
それでも。
一分と掛からずに決着がついたのでは。
「おいおい焦らすなよ」
ブルースは鼻で笑い飛ばす。
「次は誰が楽しませてくれるんだ?」