インヴァースの輪舞曲
一見してフォーエス部隊側が有利に見られる条件だがここでロックマンが負けたところで彼らにしてみればまた後日、日を改めればいいだけの話なのだ。ただの単なる口約束とはいえ全員敗北したその瞬間解散という危機が待ち受けるデメリットでしかない条件にマークが乗らざるを得なかったのは無論話し合い含むそれ以上の条件での解決を望めないと判断したからだろう。あのやり取りを見るにその判断は正しかったかのように思える。
自分が彼の立場ならどうしただろう。わざと手を抜いて負けたところで仲間たちは喜んで迎え入れてくれただろうか──そう思ったのはきっと自分だけじゃない。今隣で真っ暗なモニターの画面を見上げている彼にだって。
迷いは。
「ルーティ」
そうして物思いに耽るルーティに。
「俺は今、何を考えていると思う?」
ロックマンはぽつりと。
「……えっと」
突然の質問に答える間もなく。
「嬉しいんだ」
え? とルーティは声に出して言った。
「彼らと本気で
そう語る彼の横顔の。
なんと恍惚に満ちたことか。
「ろ、ロックマン」
「あははは!」
そうして彼は笑い出す。
螺子が外れたように高らかに。
「……もうすぐ……始まってしまうな」
何となく頭からすっぽ抜けてしまっていたのだ。
昨日語られたばかりの彼の本性を。
「願わくばこの高揚感を長く感じていたかった」
……本質を。
「さあ。存分に魅せてくれ」
ロックマンは目を細めて笑う。
「……フォーエス部隊」