インヴァースの輪舞曲
ロックマンは溜め息を吐き出しながら会議室を出ると敢えてエレベーターを選んだ。皆が皆非常階段を選んでくれたお陰でどうやら自分一人しか居ないらしい。こうして皆が集まった機会こそ逃すべきではないのだろうが今は雨漏りの程度がどのくらいのものか確かめてみないことには──
「うわああぁあああ!?」
駄目そう。
「雨漏りのレベルを越えてるよ!」
「拙者のお宝グッズがああ!」
「びしょ濡れだよ……」
「お気に入りのコスチュームだったのに……」
四階に着いてエレベーターの扉が開くや否や阿鼻叫喚の嵐に流石のロックマンも呆れたようにじっとりと目を細めて言葉が出てこなかった。冷静になれとは言わないがそれにしては祭りのように騒ぎすぎである。先程まで冷静にそれでいて激烈に正義の為に議論していたとはとても思えない。
「……マーク」
「僕の魔導書が……」
「自分で良ければ」
前に進み出たのはベレトである。
「業者に連絡を」
「一週間弱掛かるみたいです」
既に連絡をした後らしい。ベレスが続けた。
「そうか。なら次はホテルの手配だな」
そうは言ったもののこの人数である。ホテル側はもちろん大歓迎だろうが正直な話一週間弱もこの人数の宿泊費を払うのはなかなかに響く。
「……仕方ない」
ロックマンは小さく息を吐いて端末を取り出す。
「どうするんだ?」
「一応、宛てがあるんだ。……」