インヴァースの輪舞曲
──ギクリとした。
きっとその場所に居合わせた誰もが異議を唱えたい気持ちだったことだろう。今や総勢五十名も在籍するフォーエス部隊の内非戦闘員を除いた隊員が順番にロックマンに挑んだとして──誰か一人でも勝利を収めることが出来たならこの件が解決するだなんて。悩んでいたのが阿呆らしい。甘く見られたものだと考えること自体が罠だった。
「兄さん」
ルフレは一言呼んで決断を委ねる。
「大乱闘を知っているのかい」
マークは訊ねる。
「子どもの間じゃ流行ってるらしいからな」
ブルースはくつくつと笑って。
「ステージは足場のある『戦場』でどうだ?」
ルールを提示していく。
「ワンストック。一試合につき制限時間は三分。アイテムは当然ナシだ」
悠長に考えているような時間はない。
「……くく」
そんなマークの心情を知ってか知らずか口元に笑みを浮かべてブルースは足を組む。
「話し合いで決着をつけるか? 悪くない」
追い討ちをかけるように。
「円満に解決する見込みがあるならの話だが」
読まれている──
「野蛮な真似はさせたくないが」
ライト博士が言うとロールは縮こまりながら。
「えっと……博士が言うなら……」
退路まで塞がれてしまったとなると。
「それでいこう」
「兄さん」
本気? とばかりにルフレが呼んだがマークは膝の上で固く拳を握るばかりだった。
「交渉成立だ」
ブルースは満足げに笑み。
「せいぜい楽しませてくれよ」