インヴァースの輪舞曲



エックス邸──食堂。

「ロックー!」

扉を開けて案内した矢先にこれである。金髪ポニーテールの少女はその姿を一目見て迷わず我先にと駆け出して飛び付いた。名前を呼ばれたその人ロックマンは抱き止めて笑いかける。

「、久しぶりだね。ロール」
「元気ない?」

ロックマンはぎくりとして首を横に振る。

「全然! 会えて嬉しいよ!」


……性格がまるで違う。


「博士もお久しぶりです!」
「元気そうにやっておったようじゃな」
「あはは。ぼちぼちです」
「相変わらず間抜けなツラだな」
「君も来ていたんだね。ブルース」

朗らかな笑顔の似合う心優しいロボット。こうして見る分には彼らに許され打ち解けているようだがフォーエス部隊の面々にはどうにも違和感というものが拭えなかった。何処となく表情や仕草、言葉遣いにぎこちないものを感じるというか。

「無理しているわね」
「……うん」

ルフレが耳打ちするとマークは小さく頷いた。今すぐにでも行って茶番をやめさせたいところだが一度泳がせて流れを作る必要がある。

「さて。ロック」

談笑を終えたところで。

「彼らは我々に話があると言っていたが」


……始まる。


「研究所に戻る戻らないの話ならもはやするまでもないと思うのだがどう思う?」

ロックマンは目を逸らす。

「……それは」
「ロックまだ帰らないつもりだったの!?」

金髪ポニーテールの少女も食い付く。

「事情は知っているものと見たが」

赤いヘルメットの男はふんと鼻を鳴らして。

「どんな戯れ言を聞かせてくれるつもりだ?」
 
 
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