インヴァースの輪舞曲
砂利を踏む音。誰より早く気付いたロイが手を止めて振り返るのを今回ばかりはメタナイトも咎めずに。手を差し出して他の四人の素振りを止めるように促すと静かに視線を投げた先。
「すみませーん!」
溌剌とした明るい声だった。
「ロック、ロックはいませんかー!」
分かりやすいことだ。正門から入ってきた金髪ポニーテールの少女はまだ早朝だというのに元気に声を上げながらロックマンを探していた。その後ろから中庭に足を踏み込んだのは博士と思しき白髭の男と赤いヘルメットの少年。
「うるさいぞロール」
「ははは。賑やかなのは一向に構わないよ」
その様子を遠目に眺めていたカービィは小さく息を吐いて立ち上がろうとしたが草地を踏んで降り立つ音に思い留まって。
「パックマン」
クラウドが冷静な口調で呼び止める。
「余計な事は言うなよ」
パックマンは靴の爪先で地面を叩いて呟く。
「分かってる」
ポケットに手を突っ込みながら。
「それに。交渉するのはオレじゃない」
目を向けた先。
突如として現れた一行と対面していたのは。
「……君たちは?」
白髭の男は足を止めて訊ねた。
「第四正義部隊フォーエス部隊」
ルフレは答える。
「あなた方の探している『ロック』について少しお話があります」
慎重に。
「──先ずは屋敷の中に」
続けざまマークが手を差し向けて招く。
「彼もそこにいます。……どうぞ」