インヴァースの輪舞曲



……次の日。

「素振り始めっ!」

早朝のエックス邸の中庭ではいつものようにリンクを筆頭としたX部隊の剣士五人がメタナイト指導の元稽古に励んでいた。毎度のことながら釣られて起きてしまうカービィは木陰に腰を下ろして気怠げにその様子を見つめる。

「……そんな顔するくらいならさぁ」

溜め息を吐き出して視線。

「混ざればいいじゃん」
「……興味ないね」
「そうじゃなくてさ」

同じ木の幹に背中を預けて腕を組みながら稽古の様子を眺めていたのはクラウドだった。

「落ち着かないんでしょ」
「相手は何処から仕掛けてくるか分からない」

太い木の枝の上から声が降ってくる。

「何。戦うつもりなの?」
「紛らわしいことを言うなセフィロス」

クラウドが睨み付けた。

「お前も私も此処に立つ理由は同じだろう?」

セフィロスが返すとクラウドはふんと鼻を鳴らしてから固く瞼を瞑った。それとなく彼らの事情は耳にしていたがこんな日には暗い空からしとしとと霧のような雨が降り注ぐ天気こそ似合いそうなものをこれまた見事な晴天の青い空。空気を読んでいないのやら嘲笑っているのやらうちの神様は何を考えているのか。

……いや。新世界創造計画、だっけか。
 
 
42/92ページ
スキ