インヴァースの輪舞曲
彼の言うことも一理ある。張り切って夜通し作戦会議をした結果、早朝の起きられない内に全てが終わっていたら笑い話にもなりゃしない。
「ファイアーエムブレム陣なら説得得意だろ」
「簡単に言うけどそうでもないよ」
カムイは困ったように眉を下げる。
「話をするよりも戦った方が早い」
「脳筋の発想じゃん」
「事例もある」
「それお前の世界観の話だろ」
パックマンはイレブンに突っ込む。
せっかく倒したのに仲間になりたそうに見つめてくるとか嫌すぎる。絶対願い下げなんだけど。
「ふぁあ……どーするのー」
ツツイは眠たそうに欠伸を洩らした。
「今ここで作戦立てをしたところで俺たちはその本人を実際に目にした訳じゃない」
ジョーカーが口を挟む。
「すんなり受け入れてくれるかもしれないし何を言っても無駄かもしれない。それこそ交渉次第だと言うのなら明日実際に会った際そいつの性格を見て探り探り仕掛ける必要がある」
彼の意見こそ最もだろう。パックマンは溜め息を吐いてマークとルフレを見遣る。
「お前らはどう思う?」
「賛成だ」
「それが無難ね」
双子軍師までもが口を揃えれば誰も肩の力を抜いたようで張り詰めていた緊張の糸というものが緩んだ。となれば長居している理由などあるはずもなく一先ず解散といった空気が広がっていく。
「大丈夫なのかよ」
パックマンはぼそりと訊ねた。
「信用ならないのね」
「そーじゃないけど」
「最善を尽くすさ」
いや。マークは続けざま口を開く。
「最善じゃなかったとしても」
僕たちは。……絶対に。