インヴァースの輪舞曲



夜風も冷たいこんな時間に。

……勢揃いだなんて。

「ルーティ」

屋敷の屋根から降りた先の中庭には思っていた通りフォーエス部隊の面々が誰一人欠けることなく集まっていた。合流したルーティに真っ先に声を掛けたのはジョーカーである。

「面倒ごとを押し付けてすまなかった」
「ううん」

そう。ロックマンを追ってバトルルームから出ようとしたあの時ルーティを引き止めたジョーカーは襟元を正すふりをして小型の盗聴器を仕掛けていたのだ。その場ではともかく脱衣場で着替える際に気付いたルーティは彼らの意図を汲み取りロックマンから話を聞き出したというわけである。

……全員聞いてたのは予想外だったけど。

「様子がおかしいとは思っていたんだ」
「まさかそこまで話が進んでたなんて思わなかったけど」

口々に話すバンジョーとカズーイはつい先日の定例会議でたまたまロックマンの近くの席に座っていたのだ。どうも元気がないなと違和感を感じながらも突っ込むより先に直後の雨漏りによる大パニックで掻き消されたらしく。

「もっとちゃんと聞いていればよかったよ」

バンジョーは眉を八の字にして肩を落とす。

「隊長君」

進み出たトレーナーは不安そうに。

「フォーエス部隊……やめちゃうんですか?」

ロックマンは視線を落とす。

「あんたが抜けたら誰が隊長をやるんだ」

リヒターが言えば、

「愚問だな。全員が分かってる」

ブラピは腕を組んでふんと鼻を鳴らす。

「今更。お前以外に隊長なんざ務まるかよ」
 
 
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