インヴァースの輪舞曲



どくん、と。心臓が騒ぐのを感じた。

彼らしいといえばそうなのかもしれない──けれど決して褒められない謂わば戦闘狂のような思考がまさかそんな初期の頃から芽生えているものだとは当然のことながら思いもしなかった。そうして言葉を失っているルーティにロックマンは目を細めていつものように笑いかける。


「怖いかい?」


はたとルーティは現実に引き戻された。

「……それは意地悪な質問だよ」
「ははは」

肩を竦めて失笑するロックマンにルーティは不服そうに唇を尖らせていたが。

「……でも、全然悪いことじゃないと思うな」

話を戻して紺碧の空を見上げる。

「元々は家庭作業用人型ロボットだったから戦闘用に改造してもらったとは言ってもそれ相応の苦労はあっただろうし。それでも信念を曲げずに簡単には物事に決着を付けず向き合って。同じことの繰り返しでも一度憧れた正義のヒーローを全うしてるロックマンは──かっこいいと思う!」


そうか、と。

寂しげな声が返ってきて。


「、ロックマン?」

ルーティはきょとんとして振り返る。

「……博士も」

ロックマンは表情に暗く影を落としながら呟く。

「君と同じ思考だったならよかったのにな……」
 
 
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