インヴァースの輪舞曲



あの時──声に釣られて距離を詰めていく最中聞こえてきた会話の中でロックマンは明日がどうだのと通話相手に話していた。それも華々しい旅行の予定を立てているような空気ではなく急に突き付けられて慌てているようなそんな声音で。その上懸命に拒もうとしているようにも。最終的には折れてしまっていたが実際の内容はともかく終始穏やかでなかったことだけは間違いない。

「はは」

ロックマンは自嘲気味に笑みをこぼす。

「聞こえていたんじゃないか」
「……ごめん」

通話を終えたロックマンにいつから何処まで聞いていたのかと訊ねられたのを特に何もとその場では回避していたが。詳細的なワードを口にされてしまったのでは誤魔化しようがない。

「……明日。此処に来るのだそうだ」
「場所分かるの?」
「問題はないと思う」

そう言った後でロックマンは影を落とす。

「いや、……問題、か」


もう多分。

この人は隠すつもりもないのだろう。


「ロックマン」

ルーティは訊ねる。

「博士って……どんな人なの?」
 
 
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