インヴァースの輪舞曲
──ロックマンは黙っている。
「ちょっと」
カズーイがバンジョーを小突いた。
「機嫌が悪いのかもしれないじゃない」
「そ、そうかなぁ」
「そっとしときなさいよ」
そうして彼の異変に気付いて話していたのはたまたま近くの席に座っていたというだけの隊員だけでまさか議論を止めてまで注目するような事柄でもなかった。少しの間を置いて彼らも議論に参加しロックマンは言葉の飛び交う空間の中一人取り残されたかのような感覚に陥る。
……動悸。
「わ」
急に室内の照明が点滅するのだから驚いた。
「、雷が落ちたみたいね」
この会議室には窓が付いていない上に防音が施された厚い壁であるが流石の電気鼠ともなれば音が聞こえなくとも分かるのだろう。ぽつりと呟いたのはルルトだった。
「凄い雨じゃのう」
「そういえば天気予報を見とらんかったな」
シラヌイが言うとモウカは腕を組んだ。そうして図らずも話の途切れたタイミングでロックマンは膝の上の拳をゆっくりと握ると。
「……皆」
意を決したように。