インヴァースの輪舞曲



もしや自分かとルーティは自分の端末を確認してみたがロックマンが上着のポケットの中から端末を取り出して画面を確認するのを見てそういえば振動もなかったのに何を勘違いしているのだと内心自分に突っ込んで。これでもフォーエス部隊は結成されてまだまだ若い方だがこうも忙しいのは日々の活躍と隊長たる彼の努力の賜物なのだと感心しながら。別段注目するような話でもないので一度は目を逸らしたがいつまで経っても鳴り止まない着信音に不信感というものを抱いて。

「あれ。出ないのか?」

自分の代わりに疑問を投げかけるジュニアに釣られて其方を見てみれば。

「……隊長?」


顔色が。見るからに悪そうで。


「あ、ああ」

彼にしては珍しい反応で思わず目を見張った。

「出るよ」

苦笑いに似ているが何処か誤魔化しきれていないぎこちない笑みを浮かべながら端末を手に足早にバトルルームを出るロックマンをどうにも見過ごせずルーティは後をつけることにした。早速一歩踏み出したその時肩を掴まれて。

「ルーティ」

黒一色では聞こえは良くないかもしれないが第一印象も今見た感想もまさしくそれだった。

「じ、ジョーカー、」

そうして吃り気味に名前を呼んだが構わずにその人はルーティの襟元を正したというそれだけで。

「あ……ありがとう……?」
 
 
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