インヴァースの輪舞曲
「すっごぉーい!」
程なくして帰還したロックマンとマックをぴょこぴょこと跳ねながら迎えたのはツツイである。
「お相手さん抜けちゃったよー!」
「そうか。それは残念」
にこやかに応えるロックマンをじっと見つめるのはコウだった。はしゃぐツツイにどう言葉を投げかけて引き戻そうか思案しているでもなく視線の先にはその人ただ一人だけ。
「、!」
気付いたロックマンがゆっくりと振り向いた。
そして笑いかけるのだ。
「怖かったかい?」
──ぎくりと。
「コウってば臆病さんだねー!」
「ち、違いますって。お前も変なことっ」
慌てふためくコウにロックマンはくすくすと。
「そう気にすることはないさ。元は一般市民たる彼らと一戦を交えるにあたって俺も年甲斐もなく躍起になってしまったからな」
「いや何歳だよ」
いつもの調子で言葉を返すロックマンを突っ込む声に緊張で張り詰めていたその場の空気が和らいでいく。次は僕が私がと盛り上がりさえ見せる中ルーティはモニターの画面を見上げた。
世界戦闘力……二千万、って……
「さすが、ぼくの見込んだ隊長だな!」
ジュニアはさも自分の事であるかのようにロックマンの前で腰に手を置いて胸を張る。
「ご期待に添えたようで幸甚です」
ロックマンも戯けた調子で。
と。その時である。
「んぉ?」
無機質な着信音が鳴り響いたのは。