井蛙の教訓
ぎくり。複数名が目を逸らした。
「ドクター。負傷者は?」
「まあ加害者を目撃していないのが救いだな」
「ハル。器物破損額は?」
「……百万はいってないと思う」
ロックマンはにっこりと笑って。
「誰だろうな?」
続けざま。
「何故相談の一つも寄越さないんだろうな?」
いやらしい!
「隊長。意地が悪いですよ」
ルフレが言うとロックマンは失笑した。
「冗談だよ」
心臓に悪いにも程がある。
「だが事実、水面下で人目に極力触れないよう活動するのが君たち秘密結社SPだ。それは無論本来仲間である隊員に対しても同じこと。今回後処理は我々が"特別に"引き受けたが後処理までが君たちの役目である事を忘れないように」
ロックマンが言うとようやくブルーは椅子に座った。先程までの勢いは何処へやら肩を竦めて文字通り肩身が狭そうである。
「それで結局何の試験だったんですか」
コウが不意に口を開く。
「新規参入した君たちは類稀なる能力や実力を持ち合わせているのにも関わらず唯一協調性というものが見られなかった。水面下で人知れず仕事を熟すのにわざわざ一人ずつ請け負ったのでは負担が掛かる。その負担を減らす為に秘密結社SPを結成してミカゲを取締役に抜擢した」
ミカゲはびくりと肩を揺らす。
「一時はどうなることかと思ったがな」
ロックマンは笑う。
「やれば出来るじゃないか。……ミカゲ」