井蛙の教訓
ロックマンは首を傾ける。
「……依頼を受け取ったのは?」
「ぁ、亜空軍の、ダークシャドウだ!」
「任務遂行中の彼らに何か言うことは?」
男は恐怖と焦りに瞳を揺らす。
「僕は、──僕はもう関係ない! だからッ」
指を弾いて鳴らす音がした。
「ひぎゃあああぁあッ!」
次の瞬間男の背後から襲ったのは黒の雷撃。
叫び声を上げても尚容赦なく攻撃は数秒続いた後不意に途切れる。男が白目を剥いて横たわると続けて靴音が響き渡った。忍び装束の男──即ちミカゲは依然として警戒を解かないまま水手裏剣を生成して構え直したがその人が暗闇を抜け出て窓から差し込む月明かりに照らされるとその正体に気付いたロックマンは腕を差し出し止めて。
「……偶然だな。ダークピカチュウ」
いや。ロックマンは目を細めて微笑する。
「……スピカ」
現れたのは──スピカだった。
「新生組織の実力、味わっていただけたかな」
スピカは機嫌悪そうに睨みを利かせる。
「強気な訳だな」
「さて。何のことやら」
「惚けやがって」
小さく笑うロックマンにスピカは舌打ち。