井蛙の教訓
銃弾に加えて黒い電撃やエネルギー弾が飛んでくるのを進み出たキングクルールが己の体躯を平手で打つことで硬化させ弾き返す。しかしそれも単なる一時凌ぎに過ぎず室内にも関わらず容赦なく次の攻撃が飛んでくる。
「行け!」
せっかく手に入れた紙データをこの攻撃で失う訳にはいかない。キングクルールが腕を打ち払うとリドリーは苦虫を噛み潰したような顔をしながらその場を離れるべく扉を睨んだ。
「あらあらぁ!」
が。それをさせるはずもない。
「元亜空軍が情けないことねぇ!?」
黒い電気を纏いながら突進を仕掛けてきたのはダークピチュー。リドリーは引き下がりながら追い払うように尻尾を大きく払った。
「あはっ」
当然のように躱される。勢いに乗せて飛び付いてくるダークピチューにリドリーは手に持っていた紙をぐしゃりと握り潰してそのまま丸め込み踏み堪えながら扉に向かって投げ付ける。
「血迷ったのかぁ!?」
ダークピチューをそこで往なしたところで今度は入れ替わるようにダークルカリオの猛攻が待っていた。肉弾戦に持ち込まれ振るわれる拳や蹴りを躱す中紙は扉に到達して跳ね返る。
「調子に乗るなよ雑魚どもが」
リドリーはにやりと口角を吊り上げた。
「ソラ!」
叫び声に応えるように。
扉は開け放たれる。
「任せて!」
開かれた扉の先は通路などではなく何故か紺碧の空と直に繋がっていた。ソラは丸め込まれた紙に手を伸ばして捕まえると即座に振り向きざまその背後に広がる紺碧の空に向かって投げ付ける。
「ベレス!」