井蛙の教訓



レイアーゼ中央司令塔──七階。

この階層は部屋数が少ない。非常口を出てすぐT路地のようになっており右に行くにしても左に行くにしても次の部屋に行く着くまで長ったらしいばかりの通路が続いている。片側には窓が点々と設けられており陽はすっかり沈んだ様子。ロックマンは左右を交互に見て煙の匂いの残る左の道を選んで歩き出した。


「凄いじゃない」

右側の通路の先──飾られた観葉植物の内一つの影に隠れながら言ったのはルルトだった。

「うちの演出に採用したいくらいだわ」
「何てったっけなァ、ナマズン?」
「……イオナズン」

顎に手を当てながら眉を寄せるラッシュに対し、静かに答えたのはイレブンである。

「そんな間違い私だってしないわよ」
「悪ィ悪ィ」

そう──あの爆発を故意に発生させたのはイレブンだったのである。無論SPの各隊員が少ない部屋数とはいえ目撃者が出ないようにその一つ一つの部屋を見張った。見張り役の一人であるミェンミェンは無線を繋いで報告する。

「標的が動いたネ」

彼女の視線の先には急ぎ足の黒い影。

「リドリーは?」
「連絡が付かないな」

クロムは物陰に隠れてロックマンの背中を見守りながら眉を寄せる。

「頼む。間に合ってくれ──!」
 
 
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