井蛙の教訓
「、!」
セフィロスの剣戟は空を切ることとなる。見立てより先の床に倒れ伏すダークマルスと片膝を付くダークリンクの姿はあった。そしてそんな彼らを守るように立ちはだかる黒い影。
「くふふ」
ダークミュウツーは笑う。
「お見事だね……この場は手を引いてあげる」
有無を言わせずダークミュウツーが双眸を紅く瞬かせるとダークリンクとダークマルスと共にその場から消えた。セフィロスは刀を振るいホムラと視線を交わすと急ぎその場を離れる。
これが。
謎の爆発音の後に起きた数分間の出来事。
「……ふむ」
場面は戻って──ロックマンは寮に戻ることも考えた。けれど先程の爆発による影響で水道管が破裂でもしたのだろう下り階段が水のようなもので濡れてしまっている。心配性である隊員らには申し訳ないが先程警備員の男たちに話した通り上に向かおうとロックマンは階段を上り始める。カンカンと鉄骨を踏む音が鳴り響く。……
「行ったみたいだねー」
水溜まりと思われていたそこからぽんと飛び出してきたのはツツイだった。遅れて出てきたコウが視線を向けた先には複数の人影。
「よし」
カズヤとケンは警備員の男たちが気を失ったのを確認して体を下ろした。巡回する彼らに背後から襲いかかり技を掛けたのである。コウは扉を開く音を耳に拾って無線を繋げて口を開く。
「行きました。お願いします」