井蛙の教訓
エレベーターは当然のように止まっている。となれば非常階段を使うしかないか──三階より上の階層はエレベーターでしか行き来できないように見えて非常階段が存在する。そうでなければ今回のような事態に陥った際上の階層に居た人間は閉じ込められる形となるからである。ロックマンはエレベーターを離れると通路を進んで非常階段を目指した。待機命令が出ているのに待機しないのかと言われてしまえば確かにそうだが秀でて口達者である彼を言い負かして処分などこの世の誰に出来たものか。
「ん」
次の通路を曲がろうというところで何かが床に落ちる音に気付いて振り向けば。確かにカードのような形をした何かが床に落ちている。
「……?」
カードキーが何故天井から?
「動いたら痛いわよ」
ロックマンが曲がろうとしていた通路の先。
警備員の男は壁に背中を打ち付けられた後ヒカリの構えた剣を喉元に突き付けられていた。その一方もう一人の警備員の男が床にへたり込む中銀色の光沢が美しい刀の先端を目と鼻の先に突き付けられ顔を引き攣らせている。
「せ……正義部隊、……これは一体どういう」
「既に見え透いている」
セフィロスが告げると男らは顔に影を落として。
「……くはは」
不敵に──笑い出す。