井蛙の教訓
……大丈夫。
一人で請け負う必要はない。
「ミカゲ」
この人たちなら。
「指示を」
待機命令に逆らえば。
手痛い処分を受ける事は明白。そうでなくとも勝手な行動は評価に響く。表立って大きく動けないともなれば水面下から揺さぶるしかない。
それが出来るのは。──秘密結社SP!
「複数の班に分かれて行動する」
「……外には出られないぞ」
「各階に抜けられる道は把握済みで御座る」
ジョーカーはふっと笑みをこぼす。
「現在の隊長の位置は」
「六階ですね」
ノートパソコンを見つめながらブルーが返す。
「付きっきりでの護衛は出来ない。秘密裏に動くからにはあくまで補助だけの形となる」
ミカゲは腕を払う。
「無線で連絡を取り合いながら慎重に行動する。ブルーは各隊員の位置の確認と報告役を!」
「一人じゃ負担よね?」
「手伝います!」
「困った時はお互い様よ!」
デイジーとしずえに加えてどのタイミングで入れ替わったか知らないが兎角アレックスも積極的に名乗りをあげればブルーの顔を綻ばせて。
「私の部屋に来てください!」
「ダークシャドウは変化を得意としている」
ミカゲが振り返って見つめた先。
「経路を徘徊する人間は全て敵と見做していい」
「変に考えるよりずっと楽そうだな!」
リヒターは拳を握る。
「殺めるのは駄目で御座るよ」
「ええ……急に難易度上がったな」
「うちのヴァンパイア・ハンターがあまりに極端すぎる件について」
「近年における電子書籍のタイトルかよ」