井蛙の教訓
その場に居た全員がミカゲに注目した。
「裏世界に通じている者であれば暗闇と日向は大差ない──けれど暗闇の方が寧ろ好都合であると謳うその手の集団を皆も知っているはず」
心臓の音が騒ぐ。
「まさか」
誰かがぽつりと回答を口にする。
「ダークシャドウ……!」
彼らが依頼を受けたともなれば話は別である。普段対峙する存在だからこそ警戒を怠っていたが一般人が命を狙うのと彼の組織が命を狙うのとでは意味合いが異なる。そうなれば一分一秒こうしている時間さえ惜しい──そう思ったのは誰も同じだった。──無論奴等も。
「、!」
通路の電気が蝋燭の火を掻き消すようにふっと消えた。ロックマンは医務室に連れられたはず──早速仕掛けてきたか!
「僕たちは外に出てるルフレ達に連絡する」
マークはそう言って慌ただしくその場を離れる。
「相手がダークシャドウだっていう根拠は?」
「あくまでも可能性の一つとだけ。けれど常に最悪の事態を想定して緊張の糸を張らなければその油断が仇となり兼ねない」
パックマンは静かに目を細める。
「そう」
……言うようになったじゃん。
「パックマンもやることあるから」
ふいと視線を外して手のひらを緩く振りながら。
「後は任せたよ。……ミカゲ」