井蛙の教訓



ほら。……こういう人たちだから。

ああもう知ってた。そうやって踏み込んで、手を掴んで引っ張り出して。眩しいくらいの笑顔とか照れ臭いばかりの言葉とか。青春ですか?


……でも。

不思議と悪い気はしない。


「はいはーい」

手を叩いてこの空気感に終止符を打ったのは。

「男子学生女子学生の皆さーん。朗報です」

パックマンは気怠そうに。

「フォーエス部隊に待機命令が下されましたぁ」
「……考えたね」

マークは顎に手を添えて眉を寄せる。

「どういう」
「疑われているということだよ」

疑問符と感嘆符が飛び交う。

「もちろん、僕たちだけではないと思うけどね」
「……そうか!」

シュルクは気付いたように。

「司令塔内部にまだ敵が潜んでいる可能性があるから閉鎖空間にしようという訳だね」

マークは頷く。

「エレベーターは止まっているわね」
「窓は?」
「セキュリティが働いているだろうよ」
「外からも入れないなら応援は絶望的だな」
「そんな……私たちは正義部隊なのに」

口々に。


「狙われたのは隊長で御座る」


ミカゲが口を開く。

「ええっ!?」
「だったら私たちを閉じ込める必要なんか」
「無論その間に仕留める算段だからで御座るよ」

クロムは顔を顰める。

「俺たちは邪魔者というわけか……」


エンターキーの音。


「わっ凄いです!」

声を上げたのはしずえだった。

「ちょっとだけ得意なんです」

ブルーはノートパソコンを手に笑いかける。

「……これですね」

途端に笑みを消して静かな口調で。

「高額で取引されている違法サイトに記載されている有償依頼の一つに"第四正義部隊フォーエス部隊の隊長の排除"とあります。依頼人の記載はありませんが恐らくは塔内部の人間──交渉成立時刻は昨日の午後ですね」
 
 
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