井蛙の教訓
ええ、と頷いたが直後。
「……はっ!?」
「歯を食いしばるんだな」
キングクルールは腕を組みながら、
「コイツの平手打ちはよく効くからよ?」
「ち、ちょっと」
困惑するルルトに対しミカゲはきゅっと瞼を瞑ると震えながら顔を向けた。あまりに分かりやすいその様子のなんと健気で可哀想なことか。
「あなたも何素直に従ってるのよ!」
「せ、拙者、覚悟は出来ております故……っ」
……これである。
「ああもうっ」
ルルトは頭を抱えて溜め息。次に顔を上げると目前まで進み出て手を振り上げる。
「、んぇ」
頬を摘まれた。
「いいから」
そっと瞼を開けばルルトは目を逸らしながら。
「どうしたいのか言ってみなさいよ」
そんなの。
「ゔ、……ゔゔぅゔ……」
「なっえっこれでも痛かったの!?」
糸が切れたようにぼろぼろと涙をこぼすミカゲにルルトは困惑して手を離す。
「あーあ。駄目だなあ」
「ルルトは手加減を知らないネ」
ソラとミェンミェンは口々に。
「あなた達までっ」
「せ、拙者」
しゃくりあげる彼に向き直る。
「皆には、……同じ目を、させたくなくて、」
「あーあーはいはい」
短く息を吐き出したのはリドリーである。
「小せぇこと気にしやがる」
「言ったのは君だよ」
マークが言えば分かりやすく舌打ち。
「わたし達のこと」
進み出たしずえは不安げに。
「……迷惑ではありませんか?」