井蛙の教訓
賢いあの人たちなら。寛容な彼らなら。
受け入れる。簡単に認めてくれる。
そうだと確信が持てていたからこそ怖かった。
血濡れた世界に身を置く自分と同じように。
人殺しの目をさせてしまうのが。
「ずっと」
振り絞るように。
「分かってた」
それなのに。
「拙者には無理で御座るよ」
布団を握る手に力を込めながら。
「それが今更、分かったところで──」
取り返しのつかないことを。
酷いことを。
「ミカゲ」
マークは優しく頭を撫でながら語りかける。
「ロックはどうして君を選んだのだと思う?」
「……それは」
「裏世界に通じているからじゃないよ」
ミカゲは目を丸くする。
「大丈夫だよ」
続けてシュルクが微笑みかける。
「……行こう」