井蛙の教訓
パックマンは頭を抱えて溜め息を吐いた。
「……あのさ」
「僕が行くよ」
遮り、進み出たのは。
「兄さん」
「僕と彼は同期だからね」
「……僕も行く」
マークに続いてシュルクが進み出る。
「ありがとう」
「本当に大丈夫ですか?」
不安そうにホムラが訊ねると。
二人は顔を見合わせて。
「大丈夫だよ」
「うん。心配しないで」
笑いかける。
「すぐに戻るから」
やってしまった──
カーテンを閉め切り陽光を遮断。停電でもないのに電気も点けず真っ暗闇の中布団を頭から被ってベッドの上で丸くなる。着替えもせずに格好のつかないことだ。けれど今はとてもじゃないがこの中から出たいとは思わない。
「ミカゲ」
扉の叩く音。
「入るよ」
部屋の主人が終始無言であるにも関わらず扉を開いて踏み入るなんて。被った布団を剥ぎ取られてしまわないように内側から強く握って始まる前から反抗の姿勢でいればその人たちは縁に腰を下ろした。軋む音さえ煩わしい。
「……、」
まるで割れ物でも扱うかのように布団の上から。そっと優しく手のひらを滑らせる。
「大丈夫かい」