井蛙の教訓



命令とあらば容易い。ミカゲがゆっくりと立ち上がったと同時に電気が復旧した。当然のこと会議は中断となりロックマンは駆け付けてきた救護班に連れられて退室。明かりがついてしまえば今度こそ現実に引き戻されてしまったかのようで声も何も雑音に等しく疎ましく。

「ミカゲ!」

肩を跳ねて振り返る。……リヒターだった。

「……酷いな」

駆け寄るその速度を緩めながら呟く。

「さっきそこで隊長さんとすれ違ったぜ」
「……不甲斐ない」
「ミカゲのせいじゃないだろ。地を踏めば剣が、空を仰げば魔法が飛んでくる世界だ」

リヒターは腕を組む。

「敵は?」
「……いや」
「スナイパーライフルか」

気付かない内にシモンが屈み込んでいる。

「弾は二発……」
「狙われたのは隊長で御座る」

ミカゲはぽつりと呟くように言った。

「……本当か?」
「ふむ……」

目を丸くするリヒター。シモンは立ち上がる。

「情報を共有する必要がある」


ざわつく。


「寮に戻ろう」
 
 
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