井蛙の教訓
光の化身と混沌と闇の化身が全世界を巻き込んだ事件が解決してから早数週間──この第四正義部隊フォーエス部隊にも新たな仲間が増えていた。あの事件を起こしたきっかけたる人物まで隊員として迎えていた時は流石にどうなんだと野次が飛んだものだが、真っ当な理由があるのだと定例会議で隊長が説明すると誰も納得して口を噤んだ。自分は納得してないけども。
正義部隊にとって国の命令は絶対。けれどその命令が必ずしも意に沿ったものばかりとは限らない──そういった事態に備えて隊長は新しく迎えた隊員を更に振り分けた。
国の監視の目に触れないように暗躍する影のチーム。万が一国の関係者に勘付かれるなど立ち回りに失敗した際は正義部隊の名誉を守る為その場で切って捨てられるリスクを背負っているまさしく諸刃の剣のような存在──秘密結社『SP』。
その代表取締役として抜擢されたのが。
確かに結成時こそ裏世界に通じているのは自分だけだったから快く受け入れたけども。今となっては自分以上にこの重役に適していそうな隊員も居ることですし? 変えませんかと提案して数日が経ったが絶望的な答えが返ってきた。
遮ったけど。絶対にそう。
──自分には無理なんだって!
「待たせたな」
司令塔二階にある会議室。その一室を貸し切って集められていたのは想像通りの面子だった。
「よっ代表取締役!」
そんな具合に順調な滑り出しを声という形で投げかけてキメてくれたのはラッシュ。
「資料には目を通してくれたか」
ロックマンが構わずにテーブルの短辺にあたる部分の席へと進むのでミカゲが空いていた他の席に座ろうとすると、
「……席、あっちだよ」
ソラが耳打ち。
「ミカゲ」
「す、すみません」
ですよね。……ああ、帰りたい。