井蛙の教訓



第四正義部隊フォーエス部隊を担う隊長ロックマンの考えることは分からない。何も聞かされないまま要望通りにお使いを熟して報告すればこの反応である。ブラピはというと──まさか舌打ちとはいかないまでも小さく息を吐き出すとそれ以上問い質すでもなく足早に退室。

「ありがとう。参考になったよ」

ロックマンは背を預けていた壁から離れる。

「どうするのですか?」
「出来うる限りの手は打つさ」

ポケットから携帯端末を取り出して。

「行動を起こすなら早い方がいい」
「いつの時代も上司というものは大変ですね」
「はは。そうでもないさ」

笑いかける。

「たったの二言三言で部下の成長へと繋がるのであれば汚れ役くらい喜んで引き受けよう──」


ミカゲ。

"忍"という漢字の成り立ちを知っているか。


忍者たるもの──心臓に刃物が突きつけられるような危機的状況であったとしても。決して動じず常に冷静な心構えで自分の意思を変えないという強い心を持ちなさい。


強い心は。

お前にとっての刃となる。


言葉に重みがあったわけではない。

けれど幼い頃から故郷で繰り返し聞かされてきたまじないのような言葉だ。


良いも悪いも捉え方次第だと思う。

忍びは誇り。尊重するならば尚のこと。


今更。

部外者の介入なんて。……
 
 
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