井蛙の教訓
レイアーゼ中央司令塔──フォーエス寮。
「うぐぇっ」
危険を察知して逸早く脱しようとしたところまさしく蛙の潰されたような声で首根っこを荒く掴まれ部屋に引き戻されたのはミカゲだった。
「まったく」
ルフレは手をはたいて定位置に戻る。
「ひひ、酷いで御座る……」
「話くらい聞いたらどうだい?」
苦笑気味に言うのはマーク。
「絶対碌な話じゃないで御座る!」
「新しく参入した隊員の──」
「ほらほらほらァ!」
話し出したロックマンを指差して、ミカゲ。
「まだ言ってないだろう」
「大方察しは付くで御座るよ!」
「なら話は早いな」
隙を与えたのがいけない。話を自分のペースに持っていくのが得意なのがこの人の特徴だった。
「移動しようか」
「へっ!?」
それまで厚みのある椅子に腰掛けていたロックマンは立ち上がると疑問符と感嘆符の群れ飛び交うミカゲの横を抜けて部屋の外へ。
「ミカゲ」
双子の視線が痛い。
「い、……今、行きます……」