偽りの天使
「リーダー」
金髪の少年の放つ雷撃が途切れたタイミングで口を開く。
「差し出がましいようですが」
「見えているさ」
ゆっくりと立ち上がる。
「飛ばせておけ」
「宜しいのですか?」
「前を見ろ」
飛んできた青の雷撃を腕を打ち払い、弾く。
「……分かりました」
ダークウルフはきゅっとハンドルを握った。
凄い。
今までの自分が嘘みたいだ。
「おっと」
此方に気付いたダークリザードンの火炎放射を躱し、くるっと回って更に上昇。
ぐんぐんと昇っていく。
「す、スピード出し過ぎじゃねえ!?」
ロイは思わず訊いた。
今の体勢は殆ど直立に近い。大きく広げた翼を、羽ばたかせて。
「ノー問題!」
「それはどうかなぁ」
次の瞬間だった。