偽りの天使



海面に映し出された姿に当然のこと声を上げる。

「うわっ!」

バランスを崩して軌道が右へ、左へ。

「ばっ」

ロイは慌ててしがみついた。

「馬鹿、ちゃんと“飛べ”!」
「そそそそんなこと言われたって」

白の羽根が舞う。海面に落ちて道を綴る。

「こんなの有りかあぁあ!?」 


あるんです。

と、何でもない顔をして女神様が告げそうだ。


けれど。

実際に飛んでいたんだ。それは他でもない――


ボクの羽根で。
 
 
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