偽りの天使



何処かから溢れ出た白い光が、丸く円を描きボク達を呑み込んだ。

まるで沢山の羽毛に包まれたかのような。


柔らかくて。温かくて。


綿毛が飛ぶように視界を妨げていた白い光は粒子となって、消える。

海。

「ピット」

声が聞こえる。


「ピット!」


はっと目を開いた。

意識が巻き戻り、現実へ。


「……え?」


海。

その上を。すれすれのところを。


「なっ」


――ボク達は。


「なんじゃこりゃあぁあ!?」
 
 
93/110ページ
スキ