偽りの天使



ボクはまだ生きている。

そして、この人も。


「……うん」


応えたい。


「うん」

死なせたくない。


「信じる」


ボクの意志でキミを助けられるなら。

「信じるッ!」 


――今度こそ。


「そして誰もいなくなった」

ダークロイはぽつりと呟いた。

「なぁに? それぇ」
「……有名なミステリー小説です」
「確かにいなくなったねぇ」

ダークピットは断崖から海を見下ろす。


「……ん?」


目を見張った。

「事実は小説よりも奇なり」

ダークロイも同じく見下して、また、ぽつりと呟く。

「……成る程、ね」
 
 
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