偽りの天使



太陽の光に目が眩んだ。空が遠ざかる。


――飛ばなきゃ。


だって、ボクには羽根があるじゃないか。天使じゃないか。

背中に生えた両翼を力強く羽ばたかせて風に乗れ。空を飛ぶんだ。


飛べるはずなんだ。


「あは」

両腕で己の目を覆い隠して呟いた。

「嘘つき」


結局、届かなかった。

楽しみにしていたのにな。近くて遠い、あの大空を。


いつかきっと、自分の羽根で――


よかったじゃないか。清々しいじゃないか。

もう、悩むことなんかないんだ。


天使じゃない。紛い物の羽根だから空は飛べない。

分かってるはずなんだ、なのに。


……なんで。

涙が止まらないんだろう――
 
 
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