偽りの天使
剣の薙ぎ払い――ぎりぎり躱したが、服の裾が切れた。
ぼうっとしてる場合じゃ、考えるだけ相手の思う壺なのに。
なのに。
「本物に似せて作られたものが偽物なら」
音高らかに、剣が放物線を描く。
「飛べない天使は?」
蹴り払ったが躱され反撃の余地もなく。
――零距離。
ずんと鈍い音が鳩尾を中心に波紋のように広がって。
その時、自分が何もない空の世界へ蹴り出されたのだと知った。
遊園地のアトラクションみたいに。不意を突いて体が後方へ引っ張られる。
鳥肌が立つ。あの感覚。
「落ちろ」
ダークピットはにやりと笑った。
「何処までも」