偽りの天使
「嬉しいよ……会いに来てくれるなんてねぇ」
音を鳴らして神弓を片手で回し弄んだ後、差し向ける。
「よっぽど、その羽根の痛み。忘れられないんだ?」
……ダークピット。肩を竦めて嘲笑を浮かべる偽物に神弓を握り締める。
「さっきは当てられちゃったけどねぇ。今度はそうはいかないよ」
「いかないも何も、次の獲物はお前だ! ダークピット!」
「威勢のよろしいことで」
赤黒い髪が風に揺れてその隙間から、控えめな頼りない赤目が覗いた。
「……どうして」
ダークロイはまだ鞘に納められたままの剣を力強く胸に抱く。
「守りたいヒトがいるって、言ってたのに」
「……お前がどうかは知らないけどさ」
ロイは剣を肩に担いだまま言った。
「守るって。戦うことだよ」
ぴくんと小さく肩を跳ねてダークロイは視線を上げる。
「だから」
銀の光沢を刀身に走らせて。
「……俺は」
ロイは剣を差し向ける。
「痛いことくらい、どうってことない!」