偽りの天使
パキッ――音高らかにぴんと張った鎖が千切れたのはその直後のこと。
解放と同時落下の最中、保ち続けていた意識が曖昧になる――そんなカービィを、タイミングよくその下を潜りハッチを開いて受け止めたのはファルコだった。
「へえ、イケメン」
「敵ながら惚れてしまいそうです」
ダークフォックスとダークファルコが口々に言う。
一方でタブーはゆっくりと、視線を辿った。
「あ、当たった!?」
弓を手に構えて声を上げたのは。
「ピット!」
えっ? と洩らして振り向く間もなく横に倒される。と、同時。
真上をすれすれに青い光の矢が地面に刺さった。身振り手振りも無しに遠く捉えて一撃を向けたのはあの少年。ひえぇ、と情けなく鳴いて冷や汗。
「ったく。当たったことにビビってんなよ」
「いやだってまさか当たるとは……」
立ち上がるパートナーが差し出す手に縋って立ち上がる。
「よーうこそぉー!」
今度こそ。遅れを取らず躱した。
二人の元居た場所を抉り突き立てられるのは――神弓。
「……戦場の」
黒髪の間から赤目を覗かせ、
「真っ只中へ」
にやりと笑うのをきっと睨みつける。