偽りの天使



「っ、」

手応えはあった。

皮を破り肉を裂きその先を抜けて穴をあける。


――はずだったのに。


「……!」

カービィは大きく目を見開いた。

「きかないよ」

少年は口角を吊り上げる。


貫いた、その瞬間。

剣の先端から柄にかけて鋭くヒビが走り、弾けた。粒子となり、消え失せながら。風穴はみるみる内に肉を作り皮を被せ構成されていく。再生とはまた違う。


絶対的な攻撃と防御を誇る神力。


――創造と破壊。

二つの力に恵まれたそれは。


まるで何事も無かったかのように。

零(リセット)にする禁忌に限りなく近い能力――!
 
 
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