偽りの天使
「カービィ!」
視線を向けてやれないが遠く声が聞こえる。
「そいつを構うな! 敵う相手じゃない!」
……そう言われるとなぁ。でも。
僕だって馬鹿じゃない。
フォックスやファルコだってこいつのことを完全にスルーしてるわけじゃない。こいつがネロとの戦闘中、何度もレーザー砲や機銃を撃ち込んでる。なのにどうして奴は無傷だ。攻撃を受けていないはずはない。傍目に何度か確認している。
独自に備わった治癒能力――だろうか。
いいや。
再生とかそんな問題じゃない。
――あれは。
「どこをみてるの」
カービィははっと目を開いた。風を切る。服を切る。既の所で躱した蹴り技。
「なにをかんがえてるの」
ひゅっと拳が飛んできた。懐に空白が生まれる。
冷静に攻撃を潜って右回転を加え、剣を引いて構えた。――いける。
このまま、貫く!