偽りの天使



成る程、ね。

こっちの目に付くように基地を造っておいて誘い込み、事実それらしいよう振る舞いながら時間稼ぎ。本命が登場したらあちらさんが明言していた通り、誘い込んだ一部隊が全滅するまで取り囲む。


性質を理解している。

正義が、悪を見逃すはずがない。


「うわっ」

すぐ横をフォックスかファルコか、どちらかのアーウィンが抜けたもので、その際生じた強い風に思わず怯んでしまった。ぱっと目を開けると目の前には――

「……!」

既の所でメタナイトが飛び込み剣を受け止めた。

「怯むな、カービィ!」

ギリギリと押し合った後、押し返して弾く。ダークカービィはにたぁ、と笑った。


――何でもない唯の一撃が深い。今は自分が動くしかないんだ。


「そりゃどう、もっ!」

背後からの接近を察知して振り向き様に剣を受け止めて返す。

ダークメタナイトだった。

「ククッ」

怪しく笑って、影が揺らぐ。

「好きなだけ足掻けよ。どうせ逃げられねえんだからなァ……?」
 
 
71/110ページ
スキ