偽りの天使



「He fell to the ground and died.」


ぶちん。


「ッうあ、ぁ……ア……!」

いたい痛いイタイいたい痛いイタイいたい。


何が、

起こった?


「あはぁ」

次第に、視界がはっきりと。

「起きたんだねぇ?」

絶望を映し出す。


「うわああぁああああッッ!」 


床に散らばる、羽根。

所々に生々しく血が付着している。


夢の中にまで響いた声も痛みも全て現実だ。

じゃあ、あの羽根は?


……まさか。


「あ……あぁ……あ……」
「そんなに怯えることないんじゃない?」

その男は笑ってまたひとつ、羽根をぷちんと引き千切る。

「どうせ、飛べないんだからさ」
 
 
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