偽りの天使



「うん。わかった」

少年は初めて口を開いた。

「かれだけはころさない」

何のことだろう。けれどその時ルーティは微かに視線を感じたのだ。

「だいじょうぶだよ」

少年は肩を竦めて顔を上げる。


「ぼくはふたりのこどもだからね」


何を言って、

「え」

ネロの喉元に赤の一線が薄く滲んだ。

「ッ!?」

翼を大きく羽ばたかせて後方へ。今の、まさか。

「おそいねえ」

瞬きを一度許したが最後、少年は目の前に。

「しんじゃうよ?」


あ。


「ネロ!」 
 
 
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