偽りの天使
踏み込む。蹴り出す。
「ぁ」
ダークロイは瞳孔をきゅっと細めた。
「……痛いのは」
――浮遊大陸、敵軍基地上空。
「妙だと思わないか」
メタナイトは蝙蝠の持つ翼と似たそれを羽ばたかせて剣を振るった。
「っは……もしかしてメタナイト、勝てない相手に理由付けちゃうタイプ?」
「ふざけている場合か」
「冗談だって」
背中合わせとなったカービィはいつの間にかメタナイトの能力をコピーしていた。ただ彼は仮面で顔を覆うようにはせず、斜めに被せていたが。
「立ち入りを禁止してる割には敵の動きが鈍いよね」
――そうなのだ。
此方に知られたくない何か重要なものでもあれば、全勢力をもって阻止するはず。だが、何故か敵は此方と数を合わせて軽い撃ち合いをするだけだ。増援を呼び込む様子もないし意図が掴めない。この基地は、何のために……?
「――ッ!?」
なに、今の。
「メタナイト」
「ああ」
二人は異様な気配を頼りに振り向き、構えた。