偽りの天使
思わず、ぞっとした。
跳ねっ気のある黒髪に赤い瞳。目が合うとぱっと身を隠して、それからそろそろと怯えたような様子で此方を覗いたが……言動は異なれど姿形は瓜二つ。
名があるとすればダークロイでまず間違いないだろう。
「なんで……」
ロイは頭を抱えて体を起こす。
「……教えてくれたんです」
ダークロイはかくんと首を傾ける。
「無線で、リーダーが」
思わぬ盲点だった。敵に筒抜けなら意味を成さないだろうと通信を切ったことが、ここにきて裏目に出たのだ。会話を拾っていれば、気付けたかもしれないのに。
「っ、ロイ」
「平気だ。動ける」
ふらりと立ち上がって剣を抜く。
「どの道どっかで気付くだろうとは踏んでいた」
ロイは剣を構えた。遅れてピットも神弓を構える。
「どうせ筒抜けだろうからな」
――だったら。
「お前はここで片付ける!」