偽りの天使
……派手にやってるなあ。
「行くぞ」
「う、うん」
激戦繰り広げる空に気を取られていたが、ロイの合図に頷いて。プリム達が被弾により散らばって怯んでいる隙に武器倉庫に侵入。……ここまでは何とか。
「さっきみたいにやっつけた方が早いんじゃないの?」
「俺もそう思ったけど、あくまで目的は基地の偵察だからな」
ロイとピットは連なる柱の影に隠れて。
「それに多分、切りが無いぜ? こいつら“だけ”ならいいけどさ」
……ダークシャドウか。
自我を持つ彼らを複数呼び寄せてしまうのはまずい――知り得ていないこの場所で戦うにはいくら二人でも圧倒的に不利だ。ここは慎重に挑むのがベストか。
「よし」
今なら抜けられる。合図を受けて、非常灯の導く鉄製の扉へ。
「――ッ!?」
ビリビリとした感覚が全身を襲った。
ばっと振り返る。
「ピット?」
……特に変わった様子はない。
「どうしたんだよ」
怪訝そうにしながらも向き直る。
「何でもない」