偽りの天使
――浮遊大陸、敵軍基地外部。
「うわっ」
ピットは爆風に頭を腕で庇うようにしながら思わずその場に身を屈めた。
被弾が思っていた以上に酷い。今のは味方のウルフェンの光線銃によるもので、結果として亜空軍のプリム達が巻き込まれ吹き飛ばされている。煙に巻かれ内部への侵入を助けるのはいいが、こっちが巻き込まれたらどうするんだ。
「……、」
基地内から大砲を運び出している。
侵入するなら、あの武器倉庫からが良さそうだ。
「よし」
タイミングを見計らって茂みから出ようとしたその時。
「後ろだピット!」
えっ?
例えるなら炭酸飲料の蓋を開けた時のような音。
けれど目の当たりにしたのは可愛さなどとは程遠く。
「っはー、間に合った」
ロイは剣を振るって地面に突き立てると柄を持ってその場に屈み込み息を吐いた。
その傍らでどさりと倒れる、プリムの成れの果てさえ無ければ感無量なのに。
「……どうした?」
それにしても。
「ロイって飛べたっけ?」