偽りの天使
……本当に。
パルテナ様はどうしてボクなんかを親衛隊の隊長に選んだのだろう。
それが決して嫌というわけではない。けど、誰かが時々口を衝くようにボクは他の天使と違って飛べないんだ。パルテナ様から課せられてきたこれまでの任務だってパルテナ様の加護があったからこそ達成できたようなもので。
例えば、『飛翔の奇跡』という特殊能力で五分間だけ、それもパルテナ様操縦の下空を飛ばせてもらったりね(目的地までだけど)。
――ピットは、飛べないというわけではありませんよ。
ボクには分かりませんよ、パルテナ様。
いつになったら本当の答えが見つかるんですか?
「ピット?」
ロイが首を傾げた。
「どうしたんだよボーッとして」
ピットははっと我に返る。
「あ、いやっ」
苦笑いを浮かべて、
「それよりどうしたのさ、いきなり大声で呼んだりして」
「おっそうだ忘れるところだった。今、大丈夫か?」
疑問符を返す。
「別に、大丈夫だけど……」
「そっか。なら来てくれ」
ロイはくるっと踵を返してマントを靡かせ振り向いた。
「ルーティが呼んでる」